イタコになるには?

職業としてのイタコ

職業としてのイタコには資格など必要ありません。その代わりに、修行すれば誰でもがなれるわけでもありません。

まずイタコとは女性、そしてイタコの多くは視覚に不自由を負っており、また生まれたときから他人とは一線を画した特殊な霊能力を発揮、あるいはその片鱗を感じさせている場合が大半です。また、たとえばイタコ本人の血縁や先祖に霊能者がいたり、不思議な能力を持った人物がいたりする家系ほど、イタコの血の影響でしょうか、イタコに限らず霊能者や霊媒師が誕生しやすいとも言われています。イタコは自ら学ぶのではなく、弟子入りをして修行に入るとされています。イタコが主に修行、活動するのは青森県の下北半島です。

ここには、青森の人が“死者の魂が集う場所”とする恐山があります。恐山の風景は、まさにあの世。賽ノ河原を思わせる小石を積み上げた塔、硫黄の臭気、魚の住めない湖など、生者が足を踏み入れるのもはばかられる場所が恐山にはあって、それこそがイタコの修行や活動の場所になっています。娘をイタコとして独り立ちさせようとする親は、つてを頼ったり、現地に直接赴いたり、生きるための師匠を探すことになります。イタコの霊能者として独立するのも、一朝一夕にはいきません。霊体を降ろす口寄せ術、未来を見通す予知術など、修行により覚えることは数限りなく、また修行は終りの無いものです。途中であきらめる者、修行の厳しさに脱落する者が大半で、イタコとして独り立ちできるのはごくわずかです。

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