イタコとはなにか?

おぼろげなイタコの姿

イタコ」は大きなくくりで言うと、一種の霊能力者であります。ただし、イタコに関して多少の知識を有する人は、イタコを霊能者ではなく霊媒師と呼びます。これはイタコが行なう儀式に関係していると言えます。イタコは、神の霊、死者の霊魂そして生き霊を自分の身を媒介として呼び寄せて降ろし、その意思や未来予知を聞きます。イタコ自らが霊体を取り入れる器となり、媒介者となるからイタコは霊媒師とも呼ばれるのです。

神社における巫女も同じように霊魂を呼び寄せ神がかりになることはありますが、巫女が降ろせるのは神の霊のみです。神の霊に加えて、生きている者、死んでいる者問わずその霊魂を降ろせるのが、霊媒師としてのイタコの特長と言えるでしょう。こういった霊媒行為を繰り返し、経験を積んだ熟練イタコともなれば、ただ霊魂を降ろすだけにとどまりません。一方的に神霊などの予知や意思を語るのではなく、イタコは神霊・生き霊・死者霊そのすべてと会話が成り立つ強い霊能力を持ててこそ、熟練のイタコの証明ともされています。それら熟練のイタコが、周囲の人々から「カミサマ」と呼ばれるのは、見えない霊体と会話をして意思を聞き、過去・現在・未来、そして人の感情や思考を的中させるからにほかなりません。

未来が見え、人々を導く力を持ったイタコはまさに、霊能者(霊媒師)の中でも高い位置に存在する霊能者と言えます。

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